クレジットカード決済が一般的になるにつれて、存在感を日に日に増している決済代行会社ですが、どのような役割を持っているのかを知る人はそれほど多くありません。
この記事では、決済代行会社が持つ役割と、ユーザーが受ける恩恵についてご紹介していきます。
決済代行会社がもし存在しなかったらどうなるか、逆に考えてみよう
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決済代行会社が果たしている役割について知るためには、決済代行会社がもし存在しなかった場合に取引の体系はどうなってしまうのか、逆に考えてみるとイメージが湧きやすいかもしれません。
そこで、決済代行会社が無い中で、一般企業がクレジットカードを使った取引を行った場合に、どのような問題が生じるのかにフォーカスしてみました。
とにかく手続きが多い
決済代行会社を使わずに取引を行うと、クレジットカードを使う諸々の手続きがたくさんあることに驚かされるはずです。
まず、新規にカードブランドを導入する際には、いちいちカード会社に一社ずつ連絡して、個別に審査を受けなければなりません。
ブランドごとに契約内容・運用方法がバラバラであり、それらに合わせて手続き・運用を行うために手間がかかり、時間がその分奪われていきます。
要件の違いから決済方法にも自ずと違いが生まれるだけでなく、それを異なるブランドを使用する自社サイトのユーザーに対しても都度説明しなければなりませんから、ユーザーにとっても面倒です。
開発に次ぐ開発
自前でECサイトを立ち上げた場合、自社に合った決済システムを独自に開発するのであれば、かなりの時間がかかることを覚悟しなければなりません。
しかも、一度作ったら終わりというわけではなく、システムを半永久的にメンテナンスする必要性に迫られます。
自前で揃えるという行為は、一見効率的に見えますが、長い目で見ると不利になるケースも少なからずあります。
時代の流れとともにシステムを常に改修していかなければならず、ある意味、開発に次ぐ開発を続ける宿命を背負うことになります。
おカネの問題
決済方法がカードブランドによって違うこと、システムの維持に手間がかかることは、市場規模によってはある意味克服できることかもしれません。
しかし、ビジネスを長く続けていくうえで必ず立ちはだかる壁があります。
それが「おカネの問題」です。
全てを独力で運営していくにしても、人件費はかかります。
数人単位での運営となることは間違い無いため、毎月のコストは馬鹿になりませんから、近い将来に挫折することになる可能性は極めて高いでしょう。
決済代行会社とは、あなたに代わって「決済」を「代行」する「会社」である
決済代行会社の役割は、その名称が示す通り、あなたに代わって面倒な決済手続きを代行してくれることに他なりません。
これを踏まえて、クレジットカード決済を例に取って、決済代行会社の詳しい仕事内容にも触れていきましょう。
クレジットカードを使って商品を購入する一般的な仕組み
クレジットカードの「クレジット」とは、日本語に訳すと「信用」となります。
ユーザーが商品を購入した際にカードを使うと、カード会社はユーザーの代わりに一時的にお金を立替えて、お店にお金を支払います。
この機能が「クレジット」と呼ばれるルーツになっています。
後日、一定のスパンで一度にユーザーからお金を回収する仕組みです。
お店側は、カード会社から手数料を差し引かれた残りの金額が売上になります。
クレジットカード会社と決済代行会社との間で行われているやり取り
ユーザーにとってはクレジットカードは便利ですが、お店側としては必ずしも便利とは言えません。
クレジットカードを使える仕組みを店舗に導入するのに手間がかかるうえに、運用や管理にもかなりの時間を取られます。
おまけに、ブランドごとにルールが違うため、業務上の負担は使えるブランドを増やすごとに大きくなります。
決済代行会社は、これらの煩雑な手続きを一本化する仕組みを持っており、ある意味ではその仕組みをユーザーに対して提供する役割を担っているのです。
ECサイトや会員制サイトの場合はどうなる?
クレジットカードは、リアルな店舗だけでなく、ECサイト・会員制サイトの支払いにも使われることがあります。
このような場合も、決済代行会社を用いるメリットは大いにあります。
ネット決済におけるシステムを持つ会社が多いため、複雑な決済方法でなければ、ほとんどの業種に対応できるシステムが安価に利用できます。
個人で行うには煩雑な業務も任せられる
決済代行会社は、主に決済にかかる手間を省く役割を担っています。
その中には、個人で行うにはあまりにも煩雑な業務も少なくありません。
以下に、個人では対応しきれない業務についてご紹介していきます。
個人情報保護に関連するあれこれ
平成29年5月30日、10年ぶりに見直しが行われた個人情報保護法が新たに施行されました。
大きな違いは、個人情報保護法の義務を負う事業者の範囲が大幅に拡大した点です。
たとえ1人であっても顧客情報を持っていれば、その保護義務が生じるというものです。
これは、個人事業者などにとっては大きな悩みの種となりました。
そのため、個人情報漏洩のリスクを減らすため、決済代行会社を利用することを決断した方も少なくありません。
個人情報自体を事業者側で保管せず、決済代行会社に管理を任せられることから、決済代行会社側でもそれを売りにするケースが増えてきました。
PCIDSSとは?
決済代行会社の広告ページの中にたまに載っている用語で、主にセキュリティ面での安心をアピールする目的で利用されていることが多いです。
PCIDSSとは、多くの決済代行会社が基準を満たしている、クレジットカード業界のセキュリティ基準です。
大手国際カードブランド5社によって定められた共通の基準であるため、信頼度が高いのが特徴の一つです。
具体的には、以下の条件を満たす企業は準拠する必要がある基準です。
・カード情報の「保存・処理・伝送」を行う企業(カード加盟店)
・銀行
・決済代行業務を行うサービス・プロバイダー等
その他のセキュリティ対策
決済代行会社によっては、他にも複数のセキュリティ基準を設けているところもあります。
個人情報の漏洩は、企業規模によっては即倒産にもつながりかねない不祥事のため、決済代行会社は特に気を付けているのです。
もし従業員の数に比べて、取り扱う個人情報が圧倒的に多いと感じるようであれば、決済代行会社を通すメリットは大きいと言えるでしょう。
おわりに
決済代行会社は、クレジットカードを使った取引を行う企業にとっては、ある意味「何でも屋」として機能している一面があります。
決済代行会社が持つ役割をよく見直してみると、思いのほか多くのことを代行してくれていることに気付くはずですよ。