サブスクリプション

サブスクサービスのブランド設計とポジショニング戦略

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1. はじめに:なぜブランドとポジショニングが重要なのか

サブスク型のビジネスは、顧客に“継続してもらう”ことがゴールです。1回きりの購入とは違い、ユーザーとの長期的な関係が前提となるからです。

だからこそ、単に商品やサービスを提供するだけでは足りません。「このサービスは信頼できる」「自分にぴったりだ」と思ってもらえるようなブランド設計が必要になります。

また、類似サービスが多い今の時代、他とどう違うかを明確にしないと、“どれも同じ”と見なされてしまいます。ここで重要になるのが「ポジショニング(市場における自分の立ち位置)」です。

ポジショニングがしっかりしていれば、ユーザーは「これは自分に向いている」と感じやすくなり、選ばれる確率が高まります。

さらに、ブランドとポジショニングが両立しているサービスは、紹介や口コミでも広まりやすくなります。「あの○○っぽいサービス」「○○に特化してて使いやすいよ」など、記憶に残るからです。

ただ安いだけ、ただ便利なだけでは続けてもらえません。「このサービス、なんかいいな」と思ってもらう“空気感”や“ストーリー”がブランドの力です。

価格や機能だけじゃなくて、心に残る“理由”があると、つい続けたくなるんだよね。

はくにゃん
はくにゃん

2. ブランドとは何か? サブスクにおける役割

ブランドというとロゴやデザインのことだと思われがちですが、本質は「そのサービスが持つ印象や信頼感」のことです。もっと言えば、「使ったことがなくても、なんとなく信頼できそう」「一度使ったら、また使いたくなる」ような感覚を生むのがブランドです。

サブスクでは、ユーザーが毎月お金を払い続ける必要があります。そのため、単に機能が良い・価格が安いだけではなく、「安心して続けられるか」「自分に合っているか」という気持ちの面での信頼も大きなカギになります。

たとえば、次のような印象が大切になります。

  • このサービスは、約束を守ってくれる
  • いつ使っても安定している
  • 自分のニーズをわかってくれているように感じる

こうした感覚は、広告だけでは作れません。日々の体験やサービス設計、サポートの対応、SNSの投稿まで、すべてが“ブランド”として積み重なっていきます。

だからこそ、サブスクにおけるブランドは「機能」や「デザイン」の一部ではなく、顧客との“信頼関係そのもの”と言っても過言ではありません。


3. サブスクに必要な“ブランドの芯”とは?

サービスの軸を決めるときは、「誰の、どんな悩みを、どうやって解決するか」を明確にすることが重要です。これが“ブランドの芯”となり、すべての発信やサービス設計の土台になります。

たとえば

  • 誰の:毎日忙しいワーママ
  • どんな悩み:自分の健康や家族の栄養が心配。でも料理の時間がない
  • どうやって:管理栄養士が監修した冷凍食品を、時短で届ける定期サービスでサポート

このように、「誰のために」「どんな価値を」「どう届けるか」が明確だと、ユーザーとの約束がぶれません。

さらに、この“芯”があることで、機能追加やデザイン変更があっても、サービス全体の方向性がブレにくくなります。「私たちはこういう人の役に立つためにやっている」という軸が、日々の判断を支えてくれるのです。

とくにサブスクでは、長く付き合ってもらうことが前提なので、「最初の印象」だけでなく、「毎回感じる印象」が大切になります。芯があるブランドは、その印象を積み重ねて信頼に変えていくことができるのです。

“誰のためにあるサービスなのか”って、意外と忘れがちだけど大事な出発点だよ。

はくにゃん
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4. ポジショニングとは?ブランドとの違いと関係

ポジショニングとは、「市場の中で、他とどう違うか」を明確に示す考え方です。自社のサービスが、似たような競合の中でどんな立ち位置にいるのか、どんな人にどう評価されているかを整理するためのものです。

たとえば、同じような機能を持つサブスク型サービスでも、次のようにイメージされていることがあります。

  • Netflixは“海外ドラマや映画に強い”
  • Disney+は“家族向け・ディズニーブランドの強さ”
  • Huluは“国内外のバランスとテレビ見逃し配信が便利”

このように、それぞれのサービスがもつ「独自のイメージ」こそがポジショニングです。

ブランドが「内側からつくる価値観や信頼」であるのに対し、ポジショニングは「外からどう見えるか」。つまり、ブランドは“軸”、ポジショニングは“立ち位置”です。

そしてこの2つは、別々のものではなく、深くつながっています。ブレないブランドがあってこそ、伝えたいポジションにきちんと定まります。逆に、ポジショニングが明確であれば、ブランドの打ち出し方も具体的になります。

どちらかだけでは不十分。両方を整えてはじめて、「選ばれ続けるサービス」になっていきます。


5. 自社の強みを見つける4つの視点

ポジショニングのカギは「自分たちにしかない価値」を見つけることです。そのために、以下の4つの視点からサービスを見直すと、自社の強みが明確になります。

  1. 機能的な強み(スペックや利便性)
    例:他社よりも安い、操作が簡単、導入が早い、特定機能が突出しているなど。
    サービスの基本性能や使いやすさで差をつけたい場合に大切な視点です。
  2. 情緒的な価値(気持ち・体験・共感)
    例:使うと気分が上がる、癒される、仲間意識が芽生える、ブランドの世界観が好きなど。
    利便性よりも“心に残るかどうか”を大事にするユーザーに響きます。
  3. 利用シーン(いつ・どこで・どう使われるか)
    例:朝の通勤時間に聞ける、夜のリラックスタイムに使う、週末のルーティンに組み込める。
    生活のどこにフィットするかを言語化することで、より具体的な提案になります。
  4. 対象ユーザーの個性(誰のためのサービスか)
    例:育児中のママ、リモートワーカー、Z世代、地方在住者など。
    同じサービスでも「誰のために最適化されているか」で印象がまったく変わります。

この4つの視点を掛け合わせてみると、「自社ならでは」の立ち位置がはっきり見えてきます。言い換えると、“誰に、どんなタイミングで、どんな気持ちにさせるか”を整理することが、強いポジショニングにつながるのです。

“どんな人が、いつ、どういう気持ちで使うか”まで想像すると、強みが見えてくるよ。

はくにゃん
はくにゃん

6. 実例で見る! サブスクのポジショニング戦略

ここでは、実際のサブスクサービスをもとに、どのようにブランドの芯とポジショニングを設計しているかを見ていきます。どんなユーザーに、どんな価値を、どんな特徴で届けているのかに注目してみましょう。

例1:学習系アプリ(A社)

  • ブランドの芯:忙しい社会人が、通勤やスキマ時間に気軽に学べるようにしたい
  • ポジショニング:スマホだけで完結、1回5分のマイクロラーニング。継続率の高さが売り
  • 補足:競合よりも「続けやすさ」に特化したメッセージと導線設計が特徴

例2:コスメ定期便(B社)

  • ブランドの芯:自分に合う化粧品が分からない人でも、安心して試せるサービスを届けたい
  • ポジショニング:AI診断でパーソナライズされたコスメを毎月お試しできる。迷いを減らす体験設計
  • 補足:コスメ知識に自信がない層をターゲットに、安心感と発見の楽しさを両立

例3:音楽配信サービス(C社)

  • ブランドの芯:“気分に合った音楽”をすぐに聴ける体験を届けたい
  • ポジショニング:感情タグによる自動プレイリスト+直感的な操作。音楽に詳しくなくても楽しめる
  • 補足:Apple MusicやSpotifyとの差別化ポイントは“選ばなくていい気楽さ”

こうして見ていくと、ポジショニングとは「そのブランドの強みを、誰にどう伝えるか」を形にしたものだということが分かります。しっかりとした芯があるからこそ、ブレない印象をユーザーに与えられ、選ばれる理由になるのです。

競合と似てても、“どこが違うか”をはっきりさせるだけで、ちゃんと選ばれるんだね。

はくにゃん
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7. ユーザーに伝わるブランド設計のポイント

強いブランドでも、うまく伝わらなければ意味がありません。実際のユーザー体験の中で「どれだけスムーズに、印象深く伝えられるか」が大切です。

以下のようなポイントを意識すると、ブランドの価値を効果的に届けることができます。

  • メッセージがシンプルか?
    一言で何をしてくれるサービスかが伝わるか。難しい表現や抽象的すぎるキャッチコピーでは、印象に残りにくくなります。
  • トーンやビジュアルが統一されているか?
    Webサイト・アプリ・SNS・メールなど、すべての接点でブランドの「らしさ」が一貫していること。例えば、ロゴは同じでも、言葉づかいやデザインがちぐはぐだと、ユーザーは違和感を覚えます。
  • 最初の接点で“らしさ”を感じてもらえるか?
    初回体験やトップページで「これはあのサービスらしいな」と思ってもらえる仕掛けを用意する。たとえば、ブランドカラーや語り口、イラストのタッチなども印象に関わります。
  • ユーザーの記憶に残るような“温度感”があるか?
    ブランドはロジックだけでなく感情にも作用します。ストーリー、語りかける口調、共感できる体験談などを通して、「なんか好き」と思ってもらえる演出も効果的です。

こうした工夫を通して、ブランドが単なる「見た目」ではなく、「感じる価値」として伝わるようになります。

言ってることが毎回ちがうと、どんなに良くても“なんか信用できないな…”って思われちゃうからね。だから、一貫した伝え方ってとても大事なんだよ。

はくにゃん
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8. まとめ:ブランドとポジショニングで“選ばれる理由”を作る

サブスクは「一度買って終わり」ではなく「これからもずっと使い続けてもらう」ことがゴールです。だからこそ、目先のキャンペーンや割引だけではなく、長く付き合いたくなる“理由”を持つことが求められます。

ブランドは、その“理由”を言葉にならない形で伝えてくれる存在です。「このサービス、なんかいい」「いつも安心して使える」と思ってもらえるような印象づけを、日々の体験を通じて積み重ねることが大切です。

一方、ポジショニングは、競合との違いを明確にし、「なぜ自分たちが選ばれるべきか」をわかりやすく整理するための考え方です。

この2つを組み合わせることで、ユーザーの頭と心の両方に残るサービスになります。

  • 自分に合っていると感じる“共感”
  • 他と違うと分かる“納得”
  • 使い続けたくなる“信頼”

これらが揃ったサービスこそが、サブスクの世界で“選ばれ続ける存在”になれるのです。

“続けてもらえるサービス”って、機能や価格だけじゃなくて、人の気持ちに寄り添えているかが大事なんだね。

はくにゃん
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ABOUT ME
TAKETIN調査兵団
TAKETIN調査兵団
編集長
某企業のマーケティング部に勤務するも、「もっと自由に世界を調査したい!」と謎の衝動に駆られ、TAKETIN調査団を立ち上げる。最初はブログだったが、いつの間にか団員(読者)が増え、気づけば編集長に。本人いわく「気づいたら編集長になっていたので、責任感はそこそこです」とのこと。
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