サブスクリプションビジネス(定額サービス)をうまく運営するには、「誰に向けてサービスを届けるのか?」をしっかり考えることがとても大切です。
ビジネスには大きく分けて2つの方向があります。
- BtoC(Business to Consumer):会社から一般のお客様(消費者)へサービスを提供する形。
- BtoB(Business to Business):会社から他の会社や事業者へサービスを提供する形。
この2つでは、お客様の考え方・目的・必要なサポートなどがまったく違うため、サブスクの設計方法も大きく変わります。
BtoCサブスクの特徴(個人向け)
ターゲット
- 学生、社会人、主婦など一般の人たち
- 年齢・性別・趣味・生活スタイルによってニーズが細かく分かれる
よくあるサブスクの例
- Netflix(動画見放題)
- Spotify(音楽聴き放題)
- サブスクコスメ、食品宅配、語学アプリなど
成功のポイント
- 感情に響くサービス設計
- BtoCでは、ユーザーがサービスを使ったときに「ワクワクする」「楽しい」「リラックスできる」「ちょっと気分が上がる」など、感情がポジティブに動くことがとても大事です。
- 例えば、音楽アプリなら「自分の好みに合った曲がすぐに出てくる」、動画配信なら「毎日の楽しみが増える」、美容系のサブスクなら「届くのが楽しみになる」など、“心が動く体験”を提供することが継続のカギになります。
- また、ブランドの世界観やデザイン、パッケージのかわいさなども、「気に入って使い続けたい」と思わせる重要な要素です。楽しい・ラク・気持ちいい・便利といった「感覚」に訴えることが大事。
- お手頃な価格と入りやすさ
- サブスクは「とりあえず使ってみようかな」と思ってもらえることがとても重要です。そのためには、初期費用のハードルをできるだけ低くする工夫が必要です。
- 例えば、「初月無料」「ワンコイン体験」「3日間の無料トライアル」など、金額的なリスクが少ないと、ユーザーは気軽に申し込みやすくなります。
- また、「いつでもキャンセルOK」「解約はボタンひとつ」など、ユーザーが安心して始められる条件を明確にしておくことで、心理的なハードルも下がります。
- 継続利用につながるかどうかは、最初の“始めやすさ”にかかっていることが多いため、ここを丁寧に設計することが成功の第一歩になります。「無料体験」「初月100円」など、気軽に始められる仕掛けが必要。
- 見た目が良く、操作が簡単
- BtoCでは、ユーザーが初めて使ったときに「使いやすい!」「迷わず操作できる」と感じてもらうことがとても大切です。専門知識がなくても直感的に使えるUI(ユーザーインターフェース)と、わかりやすいナビゲーションが求められます。
- また、見た目の美しさやデザインの洗練度も、ユーザーの印象に大きく影響します。色づかい、レイアウト、イラストやアニメーションなどが“心地よさ”を生み出し、「続けたい」と思わせる要素になります。
- スマートフォンで使うことが前提の場合、読み込みの速さや、ボタンの配置のしやすさなど、モバイル対応も重要です。ユーザー体験(UX)全体が快適であることが、解約率の低下や口コミでの広がりに直結します。アプリやサイトが直感的に使えると、継続率が高くなります。
- 飽きない更新と通知
- サブスクサービスは「毎回新しい体験がある」ことが継続のカギです。毎月や週ごとに新しいコンテンツを追加することで、ユーザーに新鮮さと期待感を与えることができます。
- たとえば、動画配信なら新作ドラマや映画、音楽サービスならプレイリストの提案、美容系なら季節ごとのおすすめ商品など、利用者が「次は何が届くのかな?」「今日はどんな情報があるかな?」と思えるように設計します。
- さらに、プッシュ通知やメール、アプリ内バナーなどでうまくリマインドすることで、ユーザーの利用頻度を保ち、「また使いたい」「忘れずチェックしよう」と感じさせることができます。
- 更新の頻度だけでなく、“その人に合ったおすすめ”を出すパーソナライズ機能も継続率に大きな影響を与えます。
BtoCは、“楽しい!”“わかりやすい!”が大事なんだね!
BtoBサブスクの特徴(法人向け)
ターゲット
- 中小企業から大企業までの法人、部署単位、プロジェクトチームなど
- 導入目的は「業務の効率化」「情報の一元管理」「売上アップ」など、ビジネス成果につながることが前提です。
よくあるサブスクの例
- Salesforce(営業管理)
- Slack(社内チャット)
- Zoom(オンライン会議)、Google Workspace(業務支援)など
- クラウド型のSaaS(会計、人事、プロジェクト管理)ツール
成功のポイント
- 効果・成果が出るかが最重要
- BtoBでは「導入によって何がどれだけ改善されたか」を数値で証明することが非常に重要です。
- 例:売上が○%上がった、業務時間が月○時間削減された、コスト削減につながった、などの具体的な成果が、導入継続や拡大の判断材料になります。
- 柔軟なカスタマイズと連携性
- 企業ごとに業務フローやツール環境が異なるため、柔軟に機能を調整できたり、他のシステムとAPIで連携できる仕組みが求められます。
- 特に中〜大規模の企業では「自社仕様へのフィット感」が導入決定の大きな要因となります。
- サポート体制の充実と信頼性
- ツールの使い方を教える初期のオンボーディングや、利用中にすぐ対応してくれるカスタマーサポートがあると安心されます。
- セキュリティ対応やトラブル発生時の対応力など、信頼性を担保できるかも重要です。
- 法人向けに適した契約・請求モデル
- 月額・年額・ユーザー数ベース・従量課金など、業務規模や利用スタイルに応じた多様な料金プランを提示する必要があります。
- 請求書対応、部署ごとの利用明細、支払いタイミングの柔軟さなど、法人特有のニーズにも対応できる設計が評価されます。
BtoBのサブスクって、“どれだけ成果が出るか”がいちばん大事なんだね!」「BtoBのサブスクは、“便利さ”より“効果があるか”が勝負なんだね!
比較表で見てみよう
項目 | BtoC(個人向け) | BtoB(法人向け) |
---|
対象 | 一般の消費者(学生、社会人、主婦など) | 法人、企業、部署、チーム |
目的 | 楽しみ、便利さ、気分転換、生活の充実 | 業務効率化、コスト削減、業績向上 |
意思決定者 | 本人(1人) | 担当者、上司、経営層など複数人 |
導入のしやすさ | 気軽に始められる(無料体験・ワンクリック契約) | 稟議や予算承認などが必要 |
重視される点 | デザイン性、価格、操作のしやすさ、楽しさ | 機能性、セキュリティ、サポート、連携の柔軟性 |
継続の理由 | 楽しい、届くのが楽しみ、生活に馴染んだ | 成果が出る、業務が楽になった、安心感がある |
解約の理由 | 飽きた、使わなくなった、コスパが悪い | 効果が感じられない、サポートが不十分 |
マーケティング手法 | SNS、広告、キャンペーン、インフルエンサー活用 | 営業活動、展示会、資料提供、比較サイト活用 |
料金体系 | 月額制、ワンコイン、無料トライアルあり | 年額契約、ユーザー単位課金、請求書対応など |
継続の決め手 | 毎日の生活に自然に溶け込んでいる | 費用対効果(ROI)が明確である |
まとめ
BtoCとBtoBのサブスクリプションビジネスには、それぞれ異なる成功のポイントがあります。 どちらも「定額で継続してもらう」という点は共通していますが、顧客が求める価値や続ける理由はまったく異なります。
BtoCは“感情”と“日常”がカギ
- 「楽しい」「癒される」「便利」といった感情的な満足が続くことが重要。
- デザイン性や手軽さ、続けやすさが解約率を大きく左右します。
- “わかりやすさ”と“体験の楽しさ”が、習慣化につながります。
BtoBは“成果”と“信頼”がカギ
- 導入によって業務改善・効率化・売上アップといったビジネス成果が出ることが最も大切です。
- サポート体制や契約の柔軟さなど、法人特有のニーズにも対応できる設計が必要です。
- 数値で効果を示し、長期的に信頼を築くことが継続のポイントになります。
どちらのターゲットであっても、「顧客の立場で考える」ことがサブスク成功の原点。 使う人が「続けたい」と思える理由を、戦略的に組み立てていくことが大切です。
“同じサブスク”でも、人によって響くポイントがぜんぜん違うんだね!ちゃんと相手に合わせて考えるのがプロの仕事なんだ〜!」「同じサブスクでも、届ける相手によって、全然やり方が変わるんだね!
ABOUT ME
某企業のマーケティング部に勤務するも、「もっと自由に世界を調査したい!」と謎の衝動に駆られ、TAKETIN調査団を立ち上げる。最初はブログだったが、いつの間にか団員(読者)が増え、気づけば編集長に。本人いわく「気づいたら編集長になっていたので、責任感はそこそこです」とのこと。