長期間にわたり安定した収益が見込める、継続課金ビジネスを始めるにあたって、まずは会員制ビジネスを始めてみたいと考える方は少なくありません。
会員制を導入することで、どのようなビジネスモデルであっても固定収入が見込めるためです。
年会費を徴収することにより、原価をかけることなく利益を増やせることから、結果的にサービスを向上させることも可能です。
しかし、いざ始めようとする際に、果たして自社で会員制を導入できるのかどうか、不安に思う方も少なくありません。
この記事では、会員制ビジネス初心者が、安心して会員制ビジネスを始めるために必要なことと、導入の手順についてお伝えします。
オンライン会員制ビジネスを始めるにあたって必要な事と手順
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オンライン会員制ビジネスは、店舗を必要としないため、今までのように必ずしも会社単位で行う必要が無くなりました。
個人事業主でも、商品さえあれば気軽に始められる時代になったのです。
とはいえ、実際に会員制ビジネスを始めるためには、自分のビジネスモデルの種類や特徴を、ユーザーに説明できるレベルまで事前に固めておく必要があります。
そこで、まずは自分がこれからやろうとしているビジネスモデルを掘り下げる作業が必要になります。
提供するサービスは何なのか?どのように継続的な価値提供を行えるのか
会員制ビジネスを始める際には、まず自分が行うビジネスが、どのようなカテゴリに属しているのかを考える必要があります。
1件ごとの商品販売ごとに関係が完結するフロービジネスの場合、そのビジネスモデル自体に継続課金の要素を取り入れるのは、基本的に難しいのが実情です。
しかし、商品を継続的に購入することが、何らかの形でユーザーにとってメリットとなるのであれば、会員制ビジネスを取り入れるハードルは低くなります。
逆に、毎月継続的に何らかのサービスを提供できるタイプの商品であれば、会員制ビジネスを取り入れた方が、フロー型のビジネスを継続するよりもはるかに得になる場合があります。
ここでは、会員制ビジネスを取り入れる際に考えるべき、典型的なビジネスモデルをご紹介していきます。
ビジネスモデル:情報提供型
端的に説明すると、ユーザーにとって有益となるノウハウを提供するタイプのビジネスモデルです。
ノウハウの中身は幅広く、提供者によって幅広い商品設定が可能です。
投資情報、より健康に生活するための知恵、占いの情報など様々です。
一般的に認知されているものでは、有料メルマガなどがそれにあたらいます。
かつて、インターネット環境が整っていない頃は、会員に対して情報を送るには、DMなどを郵送する方法が主流でした。
そのため、費用対効果を考えた際に、個人事業主や中小企業には、なかなか作成・発行の段へと進むには難しいところがありました。
この状況を解消したのが「電子メール」です。
商品購入後のアンケートや有料会員登録の際に、メールアドレスを教えてもらえれば、お金をかけることなく会員だけに同じ内容のメールを送信することが可能になったのです。
印刷する手間もかかりませんし、少人数であれば、送信先を自分で設定するだけで送信が可能です。
メール配信システムも数多く存在し、その中には無料サービスもあります。
ビジネスが軌道に乗るまでは無料サービスを用いて、将来的に有料サービスへと切り替えることも可能です。
さて、会員制ビジネスへの応用例ですが、情報提供型ビジネスのキモとなるのは、何と言っても「情報」です。
情報というものは日々刻々と変化していくものです。
流行りすたりはもちろん、新技術が頻繁に開発される業種も珍しくありません。
せどりなどの物販ビジネスの場合、どのような商品が人気なのか、トレンドを追うことも重要になります。
これらの情報を個々人が全て追いかけるのは無理があります。
複数のビジネスを持っている方ならなおさらです。
そこで出番となるのが情報提供型のビジネスです。
会員になった人だけに、有益な情報を提供するのです。
ユーザーが求めている情報や、成功者のトレンドなどを逐一伝えてくれるため、会員としては業務を進めるうえでの参考になります。
個人単位であれば、パチンコの新台有力情報や健康に関する知識を手に入れた場合、その結果として生活を豊かにできる可能性が高くなります。
法律面で言えば、日常の法律相談や税務に関する情報を提供してもらえるサービスもあります。
このように、ノウハウを売る側が持つ知識の内容によって、いくらでも提供範囲を広げられるのが、情報提供型ビジネスのメリットです。
その分、使い古された情報ではなく、最新かつ有益な情報を絞って公開する必要があります。
ビジネスモデル:共有型
「通常は高くて買えない物を少額で利用できる」ようになるのが、共有型ビジネスモデルの特徴です。
1台の自動車を、共同住宅の住民同士でシェアして使ったり、共通のシステムを複数の会社が利用するクラウドサービスなど、必要なものを自前で揃える必要がなくなるメリットがあります。
自動車の例で言えば、経理処理上は自動車を購入すると資産扱いになりますが、リース・借上の場合は経費として計上でき、減価償却の計算が不要になる点からも労力が削減できます。
システム導入を一から行う場合、完全自社仕様にできるメリットはありますが、莫大な費用と期間がかかるのが難点でした。
しかし、既に骨子ができあがっているシステムを運用するだけであれば、月額費用を負担するだけで必要最小限の機能がすぐに利用可能です。
会員のランクが上がることによって、より高度なサービスを受けられるように、価格設定を組むこともできます。
このように、共有型のビジネスモデルを取り入れることによって、ユーザーは費用削減、運営者は毎月の固定収入につなげられるメリットがあります。
また、何かを購入する際に都度下さなければならない判断が不要となります。
個人であれば、大口の購入の際に悩んでいた時間がなくなり、ストレスの軽減が期待できます。
法人であれば、経理処理の簡略化やキャッシュフローの健全化につながります。
この型のビジネスモデルにおいては、大きな変革期を迎えています。
それは、今までであれば考えられなかった商品も、共有型の対象になってきている点です。
その一例が衣類のレンタルです。
かつては、衣類はその人その人で購入するのが一般的でした。
サイズ感が個人によって異なるため、実際に品物を見てみないと、自分に合うかどうかが分からないからです。
しかし、ユーザーの身体のサイズを詳細に確認することで、会員に衣類を一定期間レンタルするサービスを実現した会社もあります。
今までは月額レンタルを考えることが難しかった商品も、ユーザーのニーズに応える技術や目線を掘り下げることで、きちんと商品化に結びつけられた好例です。
この流れは、あらゆるジャンルでさらに加速していくことが見込まれます。
ビジネスモデル:コミュニティ型
何らかのコミュニティに属することによって、会員同士の交流が可能になるビジネスモデルです。
ビジネスモデルとはやや異なりますが、「華僑(かきょう)」を想像すると分かりやすいかもしれません。
そもそも華僑とは、海外に移住した中国人とその子孫を指す言葉ですが、狭義には裕福で経済的な影響力を強く持っている人々を指します。
中華料理が世界中で食べられるのは、華僑の力によるものとも言われています。
華僑は、家族や顔が見える友人関係(仲間)の間で富を回すことで、富を倍増させてきました。
一人が儲かったら仲間にお金を分け与えたり、誰かの新しい商売を援助することによって栄える仕組みです。
彼らは、利害を同一にする共同体、つまりはコミュニティを形成しているのです。
このように、会員同士が何らかの共通した目的を持ち、その達成のために集まる「場」を提供するのが、コミュニティ型のビジネスモデルです。
会員同士の交流に価値を見出す人にとっては、所属欲求も同時に満たしてくれます。
同じ目的の人達が意見交換を行うことにより、有益な情報を共有することができますし、仲良くなれば家族ぐるみの付き合いになる場合もあります。
コミュニティによっては、会員自身のクラスを明確に差別化できるのも特徴の1つです。
同じ施設を継続して使用する権利を提供するスポーツジムも、コミュニティ型のビジネスモデルに属します。
スポーツジムによっては、支払う金額や使用年数によって、会員のランクが決まる場合があります。
ランク名も「ビジター」「レギュラー」「プレミアム」など、名前に高級感を持たせることで、高ランク会員になることへの魅力を促します。
サービス内容にも差を付け、個人用ロッカーが使用できるようになったり、ハイクラス専用の入浴場があったりと、特別感を演出してくれます。
必然的に、ある一定のクラスの経済力が無ければハイクラスの仲間入りは難しいため、一緒のスタジオプログラムや入浴時に生まれたコミューンから、新たな付き合いが生まれることも期待できます。
自分の価値を認めて欲しい人に対して、適切なクラス設定を行えば、太い顧客を維持することも可能になります。
ビジネスモデル:定期配送型
健康食品やサプリメントなど、体調管理に有効な成分が入った製品を、定期的に配送するタイプのビジネスモデルです。
サプリメントなどは、毎月定量を服用しなければ、十分な効果が期待できない場合がほとんどです。
そのため、ユーザーとしては、毎月自動的にお金を支払って製品を購入するのが一番楽な決済方法になります。
もし、一回ごとに商品を購入してもらう仕組みしか用意されていない場合、よほど劇的な効果が身体に現れない限り、なかなか継続購入には結びつきにくい点があります。
定期配送型のビジネスモデルが成功するかどうかはこの点のケアにかかっており、まずはとにかく3カ月なり、半年なり、一定の期間購入してもらわなければなりません。
そこで、多くの業者は定期配送の契約を結ぶことを前提として、初回・2回目以降の値段設定を低く抑えるという販売方法を採用しています。
こうして、効果があると判断された製品は、ユーザーから末永く購入を継続してもらえるというわけです。
また、年配ユーザーの中には、もう飲まないけど解約が面倒だという理由から、契約はそのまま続けて家族や友人に飲ませている人も少なくありません。
販売者側からすれば意図しない結果ではありますが、一度継続契約が発生すると、このようなメリットが享受できる場合もあります。
定期配送を考える際に重要なのは、品切れを起こさないことです。
せっかく期待して毎月購入しようと思っても、仕入先の都合で商品の流れが意図せず止まるリスクが高い商品は、取り扱うべきではありません。
食料品や調味料の定期購入を考える方は多いですが、ユーザー側で「毎月このペースで届く」と考えているものが届かないのは、かなりのストレスを与えます。
Amazonでは「定期おトク便」という購入方法がありますが、大手であってもこのリスクを減らすのは難しいようです。
しょうゆなどの調味料は、製法によっては同じものを継続して仕入れるのは難しいらしく、Amazonの都合で解約せざるを得ない場合があります。
定期配送を考える際は、安定した製品供給が可能な仕入先・製造元の確保が重要と言えるでしょう。
課金方法は重要
ここまで、会員制ビジネスを始める際に参考となる、典型的なビジネスモデルをご紹介してきました。
しかし、会員制ビジネスを運営していく際には、必ず考えておかなければならないことがあります。
それは「課金方法」です。
上記をお読み頂いた方であればもうお分かりかと思いますが、会員制ビジネスはユーザーから継続してお金を受け取る、ストック(継続課金)型ビジネスになります。
ストック(継続課金)型ビジネスを進めると、必ず行き詰まるのがお金を受け取る方法です。
具体的には、運営者側は課金システムをどうするかが問われます。
会員数が少ないうちは、適当に販売しお金を受け取っていても何とか管理できますが、おそらくごく少数の会員で手一杯になります。
そして、顧客数が増えていくに連れてどんどん負担が大きくなっていきます。
そのため、もし身近に先達がいるのなら、相談して適切なシステムを導入したほうが賢明です。
増える業務と必要なツール
会員制ビジネスを継続することを考えると、急に業務が増えることに驚くはずです。
その代表的なものが会員管理で、それに対するツールを用意することが思いのほか困難であることも、続けるうちに分かってきます。
ここからは、会員制ビジネスを継続するに伴い、増えることが予想される業務と、それを解決するのに必要なツールをご紹介します。
手間がかからない決済方法を取り入れる
ストック(継続課金)型ビジネスと、フロー(単発)型のビジネスとの大きな違いは、「継続的な支払い」に対する対応の有無です。
継続課金を行う場合、いくつかの方法が考えられます。
現金を直接やり取りする方法としては、銀行振込・集金・自動引落のような方法が考えられます。
しかしこれらは、基本的にはユーザーに運営者側が干渉する部分が多い支払い方法です。
より具体的に言えば、もし支払いが遅れていた場合、督促をかけ、集金に行くのは運営者側です。
身近な地域で行っているビジネスならまだしも、全国各地の会員に対してこの業務を行うのは、あまりにも非効率で非現実的です。
それでは、どのような方法が現実的なのでしょうか。
今のところ有効なのは、クレジットカードをはじめとした、オンライン決済が可能な決済方法です。
ネット経由で展開されているストック(継続課金)型ビジネスの課金制度において、カード決済を採用していないものはまずありません。
支払いが遅れた場合でも、カード期限が切れていなければ、基本的にはクレジットカード会社の管轄となるため、運営者側の負担も少なくなります。
会員制ビジネスを運営する場合は、決済方法として最低でもクレジットカード決済が導入できるような環境を整備する必要があります。
会員に対する対応の質が問われる
実は、「継続的な支払い」に対応する際には、カードでの継続決済ができるだけでは機能として不十分です。
いくらクレジットカード決済を取り入れていても、実務上、支払が滞ったお客様に対しては、こちらから再度決済を促したりする業務も必須です。
クレジットカードは決済方法としては有効ではありますが、有効期限切れ・月の限度額オーバーなどで、決済出来ないユーザーもざらにいます。
そのような属性を持つユーザーを見極めるためにも、ユーザーの管理は重要な点です。
ユーザー管理を怠ることで、会員は増えているのに売上が落ちるという現象も現実に起こりえます。
不動産管理で言えば、家賃滞納者の存在を放置している状況ですから、決して良い状況ではありません。
それでは、督促管理も含め、具体的にはどこまでの業務が、会員管理には必要なのでしょうか。
主だった部分をまとめただけでも、以下のような内容が挙げられます。
【申込受付】
・販売フォームを用意する
・申込みを受け付ける
・支払があったかどうかを確認する
・支払があった人に商品を届ける
・支払がない人に支払のリマインドを行う
・最終的に支払がない人の申込みをキャンセルする
【継続課金】
・定期的に課金を発生登録させる
・定期的に決済を行う
・定期カード引落しをしたことを連絡する
・決済が失敗した人へ請求する
・最終的に支払されなかった人へのサービス提供を停止
【顧客対応履歴】
・問い合わせへの対応
・支払関係の問い合わせへの対応
・継続的な対応の場合の履歴管理
スモールビジネスのうちは人力でも何とか持ちこたえられますし、システムを立ち上げるならば、状況を見ながら自分で必要な機能を取捨選択するのもよいでしょう。
ただ、これだけのことを1人の経営者が全て取り仕切るのは、かなり非効率かもしれません。
もちろん、ユーザーの数が増えるとこれらの作業を人力で回すことはまず無理です。
営業や戦略構築に割く時間を考えれば、事務作業にかける時間はほとんど無いのが現状でしょう。
会員に対する対応の質を高めるためには、システムの導入は避けて通れない命題と言えます。
おわりに
会員制ビジネスを成功させるには、ビジネスモデルが成立する要件と、それを運用するために必要なシステムの構築が大切です。
これらは継続課金ビジネスの両輪と言っても過言ではなく、どちらかが欠けてもうまくいきません。
始めるまえに入念に準備を進め、確実に成功させられるよう、ビジョンを明確にして取り組んでくださいね!