今日は、乱立する決済サービスについて紹介するぞ
コンテンツ販売においてクレジットカード決済で代金を受け取るには、決済サービスについてどのようなものがあるのかを知っておく必要があります。
この記事では、決済サービスとは何ぞやという疑問から、主要な決済サービスを紹介、実際に運用するにあたってのメリットとデメリットなどをご紹介していきます。
決済サービスとは
Table of Contents
決済サービスとは、販売代金の受け取り(徴収)にクレジットカード決済を導入できるサービスです。
ネットショッピングで利用される支払方法の多くがクレジットカードであることを背景に、その需要はうなぎ登りです。
ネット販売における支払方法のトップ3とその割合
- クレジットカード
- コンビニ決済
- 銀行振込
この内、8割以上がクレジットカードで、残りがそれ以外です。
このことから、ネット販売を事業とする場合はカード決済の導入が必須ということになります。
決済サービスと決済代行会社
ネットで販売した代金の受け取りにクレジットカード決済を導入する上で選択肢としては「決済サービスを利用する」と「決済代行会社を利用する」の2択になってくると思います。
今回は決済サービスについて解説していきますが、次回は決済代行会社について解説しようと思っています。
決済サービスのメリット
決済サービスの最大のメリットを挙げると以下3点となります。
- 簡単!すぐにでもクレカ決済が導入できる
- 個人間の取引にでも利用できるほど敷居が低い
- 決済手数料が安い
- 無料で開始できる
決済サービスの特徴
決済サービスを大きく分類すると3つに分類できます。
- 個人・小規模ビジネス向け
- 大規模ビジネス向け
- プラットフォーム依存型
その他、特徴としてはその「中立性」が挙げられ、「料金を支払う側」と「料金を受け取る側」の両方にとってフェアなサービスになっています。
一見素晴らしい事のように聞こえますが、サービス提供側からすると不便と感じる事もあり、定期課金を顧客側がなんの連絡も入れずに停止できてしまうという、事業者としては見逃すことができない穴があったりするので注意が必要です。
個人・小規模ビジネス向けにオススメの決済サービス
この2つのサービスはとにかく導入が簡単。
代金を受け取るだけなら、すぐにでも使えるのでオススメです。
PayPal
加入者数2億人以上、使用店舗1,500万以上という、世界規模で利用されている決済サービスです。
PayPalを導入しているというアピールを売り手が行えば、安心して契約できると考える顧客が増え、販売・契約数の増加につながる可能性が高くなります。
加入者にとって嬉しいのは、初期費用・月額費用ともに0円から始められることです。
決済手数料は条件により異なりますが、概ね以下の通りです。
- 標準国内決済手数料 : 1件ごとの決済額 × 3.6%+40円
- 標準海外決済手数料 : 1件ごとの決済額 × 3.9%+40円
- 月額取引30万円超~100万円以下 : 1件ごとの決済額 × 3.4%+40円
- 月額取引100万円超~1,000万円以下 : 1件ごとの決済額 × 3.2%+40円
- 1,000万円超 : 1件ごとの決済額 × 2.9%+40円
なお、振込手数料は基本0円ですが、5万円未満のやり取りであれば250円がかかります。
クレジットカードの対応ブランドも幅広く、VISA、MasterCard、American Express、JCB、Discover、銀聯などが使用可能です。
SPIKE
日本で立ち上げられた決済サービスで、フリープランとビジネスプレミアムの2つの料金プランがあります。
フリープランは初期費用・月額費用ともに無料で、使用可能なクレジットカードはVisaのみです。
2018年3月現在、クレジットカード決済手数料は、3ヶ月間月10万円まで無料となっており、超過分は1件あたり3.9%×30円という価格設定です。
少額のやり取りが主流となる個人事業主の方であれば、こちらが使い勝手が良いかもしれません。
ビジネスプレミアムについては日本国内限定のサービスとなっており、初期費用が無料なのはフリープランと変わりませんが、月額費用は3,000円かかります。
注意しておきたい点は、クレジットカードのブランドによって1件当たりの決済手数料が変わることです。
- VISA、MasterCard 1件あたり2.55%~+10円~(手数料は所定の審査が終わってから確定)
- JCB、AMEX、Diners 1件あたり3.4%+30円(月額5,000円を追加で支払う必要あり)
フリープランを使う場合以外は、この点も考慮した方が良いでしょう。
また、SPIKEの致命的な点として、継続課金にシステムが対応していないことが挙げられます。
提供に向けて準備は進めているということなので、今後に期待しましょう。
大規模ビジネス向けの決済サービス
大規模ビジネス向けの決済サービスと分類した理由は、多機能過ぎていきなりアカウントを作成しても、一般の人は理解できずに利用できないだろうという点です。
これら2つのサービスは、業界を揺るがすようなすばらしいサービスではあるのですが、明らかに販売者型に開発チームがなければ連携できないような印象です。
Stripe
2010年にアメリカで起業された会社で、三井住友カードが全面提携したことで話題になりました。
新機能が毎月のように発表され、既存サービスのブラッシュアップの頻度も高いことが特徴です。
海外のサイトでは、おそらくトップシェアでして、あのFacebookもこれを使っているとのことです。
日本には最近進出してきた経緯もあり、あまり知られていないのかもしれませんん。
継続課金機能も備えており、ある程度完成された自社サイトを持っている場合は導入がスムーズになります。
こちらも初期費用・月額費用は無料となっており、決済手数料は1件一律3.6%となっています。
ただ難点は、利用できるクレジットカードのブランドがVISA、MasterCard、AMEXの3つのみというところでしょうか。
PAY.JP
ネットショップを無料で開設できるサービスの「BASE」が提供している決済サービスです。
プランが幅広く用意されており、自分のニーズにあったプランを選べます。
内容は次の通りです。
ベーシックプラン
月額費用は無料で、1回あたりの決済手数料はVISA、Mastercardで3.0%、JCB、AMEX、DISCOVER、Dinersは3.6%となっています。
プロプラン
月額費用は税込10,000円ですが、1回あたりの決済手数料はVISA、Mastercardで2.59%、JCB、AMEX、DISCOVER、Dinersは3.3%と、ベーシックプランに比べて低く抑えられています。
Seed/Partner
Web、アプリ制作会社向けの特別プランになります。
月額費用が無料となり、1回あたりの決済手数料はVISA、Mastercardで2.59%、JCB、AMEX、DISCOVER、Dinersは3.3%となり、プロプランと同じパーセンテージになります。
NPO
NPO向けのプランになります。
月額費用は無料で、1回あたりの決済手数料はVISA、Mastercardで1.50%となります。
使えるカードブランドは上記2点のみです。
プラットフォーム依存型の決済サービス
プラットフォーム依存型の決済サービスは基本的にオススメしません。
理由は、そのアマゾンやらLineやらの運営方針によって、自身のビジネスの方向性を変えなければいけないことがあるからです。
あくまでもそのプラットフォームに出店しているお店向けといったところでしょうか。
デジタルコンテンツ販売といった事業には向きません。
Amazon.Pay
Amazonを主体として取引を行う場合にはメリットが生じる決済サービスです。
ただ、Amazonで取り扱う商品のほとんどが単品購入を前提としているため、定期おトク便や雑誌等の定期購読などを商品として取り扱っている場合以外は、継続課金ビジネスとしては馴染まないかもしれません。
初期費用・月額費用ともに無料で、決済手数料は物理的商品・サービスの販売は1件あたり4%、デジタルコンテンツの販売は4.5%と比較的高めのレートです。
使用できるカードブランドは、VISA、Mastercard、AMEX、JCBとなります。
楽天ペイ
楽天での取引が多い場合にメリットが生じる決済サービスです。
こちらもAmazon同様、継続課金ビジネスに用いる際は楽天を使った継続して購入できる商品の取り扱いがあると、楽天自体を利用するユーザーは多いため、導入によりユーザーの流入は狙えそうに見えます。
しかし、決済手数料に若干難があります。
初期費用・月額費用はともに無料ですが、物販商品1回あたりの決済手数料は4.0%と高く、その他に楽天スーパーポイント原資負担分として1.0%が引かれます。
デジタルコンテンツとなるとさらにレートが高くなり、1回あたりの決済手数料が8.0%となります。
使用できるカードブランドは、VISA、Mastercard、AMEX、JCB、Diners、DISCOVERとなります。
Yahoo!ウォレット
Yahoo!内コンテンツだけでなく、Yahoo外のサービスについてもコンテンツ購入に使用できます。
Amazonや楽天に比べると商品の幅が広がりますから、Yahooで継続課金の専用コンテンツをお持ちの方は検討しても良いかもしれませんが、月額費用税込3,240円がかかります。
初期費用は無料で、決済手数料は一律3.6%です。
使用できるカードブランドは、VISA、Mastercard、AMEX、JCB、Diners、Yahoo!JAPANカードとなります。
リクルートかんたん支払い
リクルートID・パスワードを利用して支払い手続きを行う仕組みです。
使用することでユーザーはPontaポイントを貯められる利点がありますが、リクルート提携先のサイトに商品を持っていない事業者にとっては取り入れる意味がないサービスでもあります。
初期費用、月額費用ともに0円で導入できますが、物販の決済手数料が1件あたり3.5%なのに対し、デジタルコンテンツには6.0%がかかります。
使用できるカードブランドは、VISA、Mastercard、AMEX、JCB、Dinersとなります。
LINE Pay
無料通話で世界的にシェアを持つようになったLINEが提供している決済サービスです。
特徴としてはスマートフォンでの決済を主体とした、個人間の送金に便利な作りになっています。
決済手数料はLINE Payでは「加盟店手数料」と呼ばれ、物販が1件あたり3.45%、デジタルコンテンツが1件あたり5.5%となっています。
ただし、取り扱う商材によっては加盟店手数料が変わる場合がありますから、スマホユーザー向けの情報商材を取り扱っている場合などは検討しても良いでしょう。
決済サービスの使いにくい点
ここまで決済サービス各種をご紹介してきましたが、これらのサービスを用いる際の注意点は、決済サービス単体で可能な事はシンプルに代金を受取るだけということです。
もしネットショッピングを運営しているのであれば、ショッピングカート(販売・顧客管理)が必要だということがわかりますが、そういった機能は基本的に備わっていないと考えてください。
商品の販売と顧客管理を一緒にできるものではないんだね
中立性が仇となるケースもあり
決済サービスは基本的にユーザーとビジネスオーナーとが、オンライン上でより中立性・安全性を保った状態で取引することを想定して作られています。
よって、解約をできるだけ少なくしたいという販売者側の思惑とは逆となる点もあり、必ずしも継続課金ビジネスに馴染むものばかりとは限りません。
オンラインショッピングとしても、主流はやはり単品ごとの商品販売を想定する場合がほとんどですから、気に入った決済サービスがあったとしても、それを継続課金用に運用するシステムが別途必要になってきます。
利用できるカードの種類も要チェック
その他、必ずしもすべての国際カードブランドに適用するプランばかりではありません。
日本でも数多くのクレジットカードが発行されていますが、マーケティングリサーチ会社のIpsosが行った日本でのオンラインアンケートによると、日本国内で利用されているブランドの55%がVISAのシェアという結果が出ていました。
次いでJCBが概ね30%程度のシェアを占めますが、マスターカードは12%と少なく、決済サービスを用いる際にターゲットを絞る際、フリープランを選ぶとJCBのシェアを失うリスクがある商品もあります。
おわりに
決済サービスを継続決済に取り入れるにあたっては、自分のビジネスに合致する仕組みを取り入れたいものです。
しかし、決済サービス単体で見た場合、継続課金に必要十分な要件を揃えているとは必ずしも言い切れないのが実情です。
本格的なシステム導入を検討する場合は、専門家への相談は必須と考えて良いでしょう。