継続課金ビジネスにおいて重要な数値の一つに「解約率」があります。
毎月の固定収入を実現してくれているユーザーが頻繁に解約していては、ビジネスを軌道に乗せるのは夢のまた夢。
今回は、継続課金ビジネスを、解約率というワードから紐解いていきましょう。
そもそも、解約率(チャーンレート)とは何なのか
解約率(チャーンレート)とは、果たしてどのような指標なのでしょうか。
以下に詳細をご紹介します。
基本的には、ユーザーアカウントの解約率のことを指す
解約率という単語から【(契約が解約された数÷契約総数)×100=解約率】という数式が連想できますが、問題はその対象者です。
継続課金ビジネスにおいて解約率を語る場合、基本的にはユーザーアカウントの解約率のことを指します。
収益ベースでの解約率を計算する場合もある
継続課金ビジネスにおける解約率の計算方法は、単純な顧客数による計算だけではありません。
収益額をベースにした計算方法もあります。
MRRチャーンレートとも呼ばれ、以下の数式で表されます。
【今月に解約があったアカウントによる減益の合計÷今月初時点での月次収益×100=MRRチャーンレート】
料金幅が異なる商品がある場合は、どちらも考慮したいところ
なぜ、継続課金ビジネスにおける解約率では、異なる計算方法が存在するのでしょうか。
その理由は「ユーザーが皆同じ商品を購入しているわけではない」からです。
一方の商品は月額100円で、もう一方のプレミアム商品は月額500円といった場合、料金幅が異なっているため、自ずと売上に与える影響が懸念されます。
前者と後者を比較すると、1件解約された際のダメージは、後者が5倍にもなります。
逆に、前者が2~3件解約されたとしても、収益への影響は少ないのです。
解約率を下げるためには、顧客心理に沿って対策を講じる必要がある
解約率を計算した際、それほど収益ベースでは支障が無いからといって、問題を先送りにするのは逆効果です。
傷口を広げないためにも、気付いた時点で対策を講じる必要があります。
ある携帯電話の会社がやってしまった失敗例
携帯電話会社の多くは、通話時間に応じて料金プランを組み立てています。
中には、支払金額に比べて実際の使用時間が短いユーザーもいます。
それらのユーザー向けにプラン変更を案内したところ、かえって解約率が上昇してしまいました。
惰性によってプラン変更を行わなかったユーザーに、考えるきっかけを与えてしまったことにより、結果的に他会社のプランに目を向けたユーザーが解約を決断してしまったのです。
データ分析により顧客の嗜好をつかむ
このような失敗を防ぐには、データを詳細に分析して、顧客の嗜好をつかむよう努力する必要があります。
顧客の行動・属性などを把握し、セグメントごとに分類した後、解約率が高いものと低いものとを特定すれば、自ずから解約理由が見えてきます。
解約を考える顧客には、ある程度共通する行動がある
嗜好が細分化されたとはいえ、同じ人間である以上、解約を考える顧客にはある程度共通する行動があります。
それは「デメリットを避け、メリットを増やす」ことです。
解約率の高いセグメントを分析したときに、サービスのアップグレードへの対応が今一つだったという解約理由が分かったとしたら、それは同時に解決策へとつながります。
顧客のニーズが分かったら、すぐにそのニーズを満たすことで、解約率の増加を食い止められる可能性が高まるのです。
悲しいことに、年数が経てば経つほど顧客の解約リスクは高まる
どのような商品・サービスであっても、年数が経てば経つほど、顧客が解約を考えるリスクは高まってきます。
よほどお気に入りの商品は別としても、多くの方は様々な商品に目移りするものです。
人間の本質は「変化」である
人間の身体は、毎日生きるために新陳代謝を欠かしません。
内臓や筋肉、脳や神経などを動かすため、私たちは日々食事をしたり、睡眠をとったりしています。
同じようなことをしているように見えて、毎日何らかの変化を積み重ねなければ生きていけないのが、人間なのです。
これは仕事や嗜好についても同じことで、熟練の技術を持った職人が重宝されるのは、毎日「同じ仕事を同じやり方で行うこと」が人間にとってもっとも難しい行為の一つであることを表しています。
定期的なアップデートを怠った場合、解約率が8割近くになる可能性もある
多くのユーザーは残念ながら職人ではありませんから、仕事・プライベート両面において、常に良い方向への変化を求めています。
定期的なアップデートは変化する世界において必須ですが、スマートフォンのアプリは特にその必要性があります。
モバイルアナリティクスを行う会社「Quettra」の調査によると、Google Playにおける全てのアプリの平均継続率は、3日経つとおよそ80%が休眠状態になることが分かっています。
そのまま放っておくと、これらのユーザーは解約を検討するでしょう。
仮説→実行→検討の流れをスピーディーに行い、定期的なアップデートを
変わりやすい人間の心を掴むためには、原因を速やかに把握して、対策を迅速に行う必要があります。
解約率が上がったことの仮説を立て、ユーザーの心をつなぎ止める対策を実行し、実際に効果はあったかどうか検討するという一連の流れを、できる限りスピーディーに行いましょう。
おわりに
継続課金ビジネスを軌道に乗せ、成功させるためには、いかにユーザーの心を掴んで離さないようにするかが大切です。
ユーザーの心の移り変わりを捉え、欲しい商品・サービスを用意するのはもちろん、定期的にアップデートを行うことで、解約率を減少させることを心がけてくださいね。